お話をきかせて

無名のアイドレスプレイヤーのアイドレス日記です。
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多岐川佑華@FEGさん依頼SS
川沿いで猫探し

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「まあ、子供の事はおいおい考えるにして、」
「切り替え早いなユーカ」
「猫飼いたいよ、猫。あーあ、さっきの子ウチの子になってくれないかなあ」
「駄目だからな、あれはよその家の猫だろ?」
「べ、別によその子誘拐する気は、ないです、よ?」
「………………(俺がツッコミ入れなかったらどうする気だったんだろ……)」

ある夫婦の会話。ちなみにこの夫婦はアパート在住である。


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 じりじりと、まだまだ夏の気配を残した太陽に焼かれながら。
 多岐川夫妻は近所の川沿いを歩いていた。
 妻である佑華の持つものにカトーは苦笑が禁じえない。

「いや、猫士なら飼えるんじゃないかと」

 確かにこう言ったのは自分だ。自分なのだが………。

「じゃあ野良猫士捜ししようよ、その子飼うよ」

 そんな発想をする嫁もいかがなものか。そもそも猫士は国ごとに管理されているはずだから野良なんているのだろうか。しかも野良猫士捜しと称して持って来たものが微妙におかしい。

「なあ、ユーカ」
「なぁに? ショウ君」

 鼻唄を歌いながら数歩先を歩いていたユーカがスカートをふわりと翻して振り返る。

「猫缶とかつおぶしは分かるんだけどさ」
「うん」
「昆布なんてどうするの?」
「グルメな子だったら食べるよきっと」

 どんな猫だ。
 そうツッコミを入れたかったが、佑華は打たれ弱い上に落ち込みやすい性格ゆえためらってしまった。
 猫缶にかつおぶし、昆布に何故か虫取り網も持ってのほほんと笑う佑華にカトーが脱力していると。
 草むらがかさかさと音を立てて揺れ。猫が飛び出して来た。
 少し前に佑華にドクロマークを渡して去って行った猫とちょっと似た、真っ黒な細身の猫だ。

「あー、猫ー」

 佑華は嬉しそうにその場にしゃがみ込み猫を手招きした。
 黒猫は尻尾をぴんとたてながら佑華のすぐ手の届きそうな所まで来て。佑華が撫でようと手を伸ばした瞬間にぱっと走り去ってしまった。要は佑華、猫にからかわれたのだ。

「あー、ユーカ。残念だったな………」
「………すん」

 佑華はちょっぴり涙目で昆布を軽く川の水に浸けるとそれを被って膝を抱えていじけてしまった。てか何故被る。

「ふみゅふみゅふみゅ………」

 佑華、すっかりいじけモード突入である。この人物、猫は大好きなのだが何故か猫にからかわれて逃げられるパターンが多い。

「うーん………」

 いじけモードに突入した佑華は大変面倒くさい。どんな事を言ってもネガティブな方向にしか捉えられなくなるのである。それで散々頭を抱えて悩んでいるのが佑華と長い付き合いの人物だが、まあ置いといて。
 ネガティブスパイラルを引き起こさずどう慰めるかとカトーが軽く思案した所。

「あ。なあ、ユーカ」
「あい?」

 カトーは目に止まった花をぷちりと根元をちぎって佑華に差し出した。
 1本の茎にいくつもくっついた鮮やかな紫色の釣鐘みたいな花。
 よく見たら、同じ種類の花が群生していた。

「うわぁ、綺麗だねぇ………」

 佑華は片手で被った昆布を剥がしながらカトーから花を受け取った。また、泣いたカラスが何とかである。

「これ、秋の花かな?」
「また辞書で調べるよ」

 野良猫士は、結局捕まえられなかったが思わぬ収穫に佑華は喜び、佑華がすぐ笑ってカトーはほっとした。

 後日、花の名前がツリガネソウだと分かったのだった。
文族のお仕事 11:01 comments(0)
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